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基礎ミクロ経済学
2026年度版
多鹿 智哉
はじめに
- 講義するひと
- » 多鹿 智哉
- 学位:博士(経済学)
- 研究分野:ミクロ経済学・ゲーム理論
- » 連絡先: tajika.tomoya@nihon-u.ac.jp
- » 研究室: 2号館 807号室
- » オフィスアワー: 月曜午後(だいたい15〜16時まで)
- オフィスアワーはアポなしで来て良い
- zoomなどが良ければ事前に連絡すること
- この講義の目的・目標
- » ミクロ経済学の初歩的な理論を身につける
- » 数式か図か言葉のいずれかを用いて論理的に説明できるようになること.
- 教科書
- 共通教科書:嶋村紘輝他『入門ミクロ経済学』中央経済社,2002年
- 参考書ガイド
🔗 QRリンク
- 授業について:
- » 大学の講義は「授業90分+予復習180分」で二単位です.
- » すべての授業は授業にすべて出席し,予復習の180分をしっかりすれば単位が取れるような設計になっています(原則).
- » この講義では以下の二つができれば予復習に時間をそこまで取る必要はありません.
- 授業中:ノートをとって内容を理解し,小テストを解く.
- 予習:講義資料を先に見て,わからなそうなところをメモしておく
- 復習:練習問題を解く・わからないところを質問する・スタディグループを作って協力する
- 「わかった」の基準は「授業内容を自分の言葉で説明できる(パラフレーズ)」ことです.
- 持ち物:筆記具,計算用紙,講義スライド
- » スライドに板書や理解したことなどを書き込むこと
- » タブレット派用に電子でも配布する
- » 必ず書き込むための時間を取るので,聴くことと書くことは同時にやらない方が良い.
- この講義は対面授業です.
- » 授業に出ずに単位が取れるはずもなく
- » もちろん授業にいるだけでは取れない
$$\text{総合成績}=\text{共通テスト}+\min\left\{[\text{小テスト}+\text{発言点}+\text{個別試験}]\times \text{平均出席率},50\right\}$$
- » 事情がある欠席者は「事前に」メールで連絡した上で,その日の授業の録画を見てまとめ(400字以上かつ全ての内容に触れること)を提出すると出席としてカウント
- 小テストは選択式か計算問題, 全14回(1回あたり1点)
- » 小テストはCanvas LMSで出題
- » 小テストに何を用いても何回チャレンジしても良い(最高点のみが成績に加算)
- 発言点は授業1回あたり最大1点,ただし授業内容に関係するものとする(事実上の出席点)
- 共通テストは択一式
- » 共通テストの同じ時間に個別試験(記述・配点36点)もある.
- » 個別試験の内容は全部
- » 共通テストの日程・時間は通常授業時間とは異なるので注意
遅刻して単位を落とした者は数知れず...
- » 共通テストには最低基準点がありこれに達しないと不合格
ミクロ経済学の方法
- ミクロ経済学とは何か?
- » インセンティブ(誘因)に関わるもの全て
- » キーワードは「最善を尽くす」
- ミクロ経済学に何ができるか?
※教員のところは授業の話ではなく研究の専門の話
- » 意思決定論:個人が何を選択する(べき)かの理論.
- » 価格理論:価格の決まり方と資源配分の探求
- » ゲーム理論:複数人による決め方の理論
教員では: 安藤先生,岩瀬先生,丸田先生,多鹿
- » 行動経済学:心理学の知見を取り込んだ意思決定論とその応用
教員では: 大橋先生,前川先生
- » 国際貿易論・都市経済:地理的な知見を取り込んだ分析
教員では: 村田先生,安田先生,浅田先生
- » 労働経済学:労働問題を扱う
教員では: 安藤先生,平河先生
- » 産業組織論:企業と競争の問題を研究
教員では: 手塚先生,中村(靖)先生,山田先生
- » 公共経済学・財政学:租税・財政政策などを研究する
教員では: 中川先生,(多鹿)
- » メカニズムデザイン・マーケットデザイン:人がどのように行動するかを読んだ上で,制度を設計する.
教員では: 岩瀬先生,大橋先生,安藤先生
- 他にもたくさん
- この講義で学ぶのは「価格理論」
- » 上記を学ぶためのエッセンスが詰まっている.
(※当たり前の話が多いので少しつまらない・技を磨く場所と思え)
- 経済学は「モデル」を作る
- » モデルとは? → 現実社会の単純化された模型
- » 分析のために関係のない,興味のない部分は切り捨てる
- » 論理的に「何が起きるか」「何が良いか」を調べる
- モデルの例1
- » 自由は良いことか?
- 設定
- 人々は自分にとって最も良いものを選ぶ
- 人々にとって良いものを選んでいることが望ましい
- モデルの例2
- » 規制は良いことか?
- 設定
- 人々は「今の」自分にとって最も良いものを選ぶ
- 「将来の」人々にとって良いものを選んでいることが望ましい
- 危険薬物を使用することは「今の自分にとっては最も良い」が「将来の自分にとっては最も悪い」
- モデルの例3
- » 規制は良いことか?
- 設定
- ある人は「将来の」自分にとって最も良いものを選び,ある人は「今の」自分にとって最も良いものを選ぶ
- 「将来の」人々にとって良いものを選んでいることが望ましい
- 危険薬物を使用することは「今の自分にとっては最も良い」が「将来の自分にとっては最も悪い」
- 実際に起きている「現実の行動」の説明ができる(事実解明的分析)
- その良し悪しが判断できる(規範的分析)
- モデル化によって関係ないものを削ぎ落とすので,純粋な影響を知ることができる
- 同じ行動を説明する理論はいくらでもある.
- 理論が違えば「良し悪し」の判断も違う
- モデル化はいろんなものを削ぎ落とすので,重要なことが含まれていない可能性もある.
意思決定
- ミクロ経済学の基本:人々はどのように意思決定を行うか?
- 他の分野でも重要:
- » マーケティングは人々の選択に関わる学問
- » 意思決定の理論の理解がフワッフワだと分析もフワッフワになる
- ミクロ経済学がミクロ経済学であるためには
- » 人々の選択に根拠をつけられること
- » 根拠をつけられるのであれば「良し悪し」が判断できる
- 行動経済学も,意思決定の部分に関わる
- » 例:
- » 普通の経済学:選択肢を全部認識している
- » 不注意の経済学:一部の選択肢を認識していない
- キラキラした応用分野を学ぶには基礎がしっかりしてないと薄っぺらい
- 経済学の基本モデルにおける大前提
「人は効用を最大にするように行動する」
- » 効用:人々が得る利益,幸せの度合い,(マイナスの効用として)費用など...
- » ※どんなことでもできるわけではない.物理的や経済的な制約に直面する.
- 合理的であること
- » どんな選択肢でも比較できる(完備性)
- » 好みがサイクルしない(非循環性)
- 完備性は現実的か(完備性を満たさない現実の例があるか)?
- プラスの効用を便益,マイナスの効用を費用と呼ぶ.
- あらゆる行動の価値をお金に換算できるとする
- » ニュメレール(価値尺度財):このときのお金のようなもの
- 「ヒトは以下の効用を最大化するように行動する」として分析する.
$$\text{効用}=\text{便益}-\text{費用}$$
- グレゴリはキノコ狩りを生業としている.キノコ狩りをするためには入山許可書1万ルーブル,道具代30万ルーブル,保険料15万ルーブルがかかる.一方でグレゴリには数学の才能があり,もし彼がキノコ狩りでなく数学者をするならばその仕事自体から得られる効用と合わせて7000万ルーブルを稼ぐことができる.さらに多才なことに物理学の才能もある.グレゴリが数学者でもなくキノコ狩りをするのでもなく物理学者をやるとその仕事自体から得られる効用と合わせて9000万ルーブル稼ぐことができる.さらに彼はいままで数学者になるための教育を受け,それには合計5000万ルーブルの費用がかかった.グレゴリがキノコ狩りをすることの効用はいくら以上か?
- ある行動をするために諦めた行動から得られる便益の最大値をその行動の機会費用と呼ぶ.
- » グレゴリの例では物理学者をすることによる9000万ルーブルの便益がキノコ狩りをすることの機会費用になる
- また,どんな行動をしても既に回収不可能な費用のことを埋没費用(サンクコスト)と呼ぶ
- » グレゴリの例では数学者になるために受けた教育費用5000万ルーブルの費用はそれである.
- » 合理的な意思決定では埋没費用は意思決定に考慮すべきでない
- 〈発展〉 合理的でない人にとっては埋没費用を気にする方が良い場合も...
- » 例: 事前の自分にとっては運動した方が良いのでジムの会員になるが,事後の自分はめんどうで行きたくない.ジムの会費は埋没費用.
- 埋没費用の誤謬にハマらない人:「合理的に」ジムに行かない
- ハマる人:せっかく払ったからとジムに行く.
事前の自分にとってはどちらが良い?
- 〈考えてみましょう〉
- » あなたの身の回りの埋没費用はなんですか?
- » 埋没費用の誤謬に陥っていますか?
- » 埋没費用を気にしないことは本当に良いことでしょうか?
- 費用便益分析の欠点
- » 費用と便益は別々のものとして考える
- → 所得を反映させられない.
- → 「費用」が大きいと所得が大きく変わってしまう.
- → 便益も変わってしまうかも?(所得効果)
- 費用便益分析が妥当でなくなる例
- » 所持金が200万円の人が150万円の車を購入するかどうか
※購入前と後の所得では車の価値が違う!
需要と供給
- 以降の章では「財」の取引を考える
- » 財とは取引される対象で,商品,サービス,余暇など有形無形を問わない
- 取引量の数詞として,「単位」を用いる
- » 例:商品であれば1個,水などであれば1Lなど
- 財の購入時に支払う金額は「価格 $\times$ 数量」である.
- 経済活動の最大の舞台は市場である
- » この市場ではどのように取引が行われるべきか?
- 例として「家」の市場を考える.
- » 家を欲しがる人と家を建てる人(大工)がいる.
- (最大の)支払意思額(willingness to pay, wtp)とはその財に支払ってもよい最大金額のこと
| 家が欲しい人(買手) | 天照 | 出雲 | 高木 | 月読 | 大和 |
| 支払意思額(万円) | 5000 | 3500 | 2000 | 1000 | 800 |
| 大工(売手) | アダム | イヴ | ルツ | ヤコブ | ヨセフ |
| 費用(万円) | 4500 | 3200 | 1800 | 950 | 850 |
| 家が欲しい人 | 天照 | 出雲 | 高木 | 月読 | 大和 |
| 支払意思額(万円) | 5000 | 3500 | 2000 | 1000 | 800 |
|
| 大工 | アダム | イヴ | ルツ | ヤコブ | ヨセフ |
| 費用(万円) | 4500 | 3200 | 1800 | 950 | 850 |
- このマッチングはうまくいっているか?
- » 不満がある人がいる...
📊図: 需要曲線 - 階段状のグラフ(横軸:数量, 縦軸:支払意思額, 天照5000/出雲3500/高木2000/月読1000/大和800)
- 上の曲線は需要曲線という.
- » 需要量とはある価格が与えられたとき,その価格ならこれだけ買いたいという量の総合計.
- » 価格と需要量を結びつける関係を需要曲線という.
📊図: 供給曲線 - 階段状のグラフ(横軸:数量, 縦軸:費用, ヨセフ850/ヤコブ950/ルツ1800/イヴ3200/アダム4500)
- この曲線は供給曲線と呼ぶ.
- » 供給量とはある価格が与えられたとき,その価格ならこれだけ売りたいという量の総合計
- » 価格と供給量を結びつける関係を供給曲線という.
- » 追加で一個作るための費用の大きさ(限界費用)が供給曲線を形作る
📊図: 需要曲線と供給曲線の交点(均衡価格1800〜2000, 均衡取引量3)
- 需要量と供給量が一致するときの価格を(市場)均衡価格と呼ぶ
- » 「均衡」は選択の次に経済学にとって大事な要素
- 均衡価格では"ある意味"不満がない
- 架空の商品の取引をします.
- » 商品の価値はランダムに決まる数です
- 取引は一度に2回まで行われます
- 商品の価格は注文の需要と供給が交わるところで決まります
- » 価格よりも希望購入金額が高ければ買え,希望売却金額が低ければ売れます.
- 最終的な利益は2回目の後にでます.
- » 景品が一つもらえます.景品は賞金の大きい順に選べます.
- 実験はスマホ(or PC)を使って行います.
- » 以下のQRコードからアクセスしてみましょう(授業中のみ有効)
🔗 QRリンク
- まずは練習してみましょう.
📊図: 需要曲線と消費者余剰(均衡価格以上の支払意思額部分を塗りつぶし)
📊図: 供給曲線と生産者余剰(均衡価格以下の費用部分を塗りつぶし)
- 社会的総余剰
- » 消費者余剰と生産者余剰の和
- 「支払意思額 $-$ 費用」と考えても良い
- » なぜ?:お金の部分は相殺されるから
📊図: 過少生産のケース - 需要・供給曲線
過少生産のケース
📊図: 過大生産のケース - 需要・供給曲線
過大生産のケース
- 滑らかな需要曲線・供給曲線は「階段の段差」が細かいと考えれば良い.
- 数式で需要曲線・供給曲線が与えられているケース
- » 需要曲線:$P=21-3Q$
- » 供給曲線:$P=2Q+1$
- 社会的総余剰は合計
- » 当然の疑問は「足していいの?」
- » すべてをお金に関する価値に変換でき,そのレートが常に一定ならOK
- パレート効率性:よりゆるい最適性の基準
- » AからBに移ったとき,全員が改善するなら BのほうがAよりよい
- » AからBに移ったとき,誰かが損するなら,BのほうがAより良いとは言えない
- Aがパレート効率的であるとは,他のどの状態に移っても誰かが損すること.
- 金銭的価値の足し算ですべての価値が決まり,余剰が譲渡できる世界ならば「社会的総余剰最大化 $=$ パレート効率的」
- » そうでなければ「社会的総余剰最大化してなくてもパレート効率的」のときがある
- » 例:
- この章の最初の適当なマッチング:余剰は低い,アダムは取引できて嬉しい
- 市場均衡:余剰は最大,アダムは取引できなくて悲しい
| $x_1$ | $x_2$ | $x_3$ | $x_4$ | $x_5$ |
| アダム | 2 | 4 | 3 | 1 | 5 |
| イヴ | 2 | 0 | 2 | 1 | 5 |
| ルツ | 2 | 4 | 1 | 10 | 1 |
- » $x_{1}$はパレート効率的か?
- » $x_{2}$は...
- » $x_{3}$は...
- » $x_{4}$は...
- » $x_{5}$は...
- パレート効率性だけでは選択肢を絞りきれない
- → 社会厚生関数
- 左の方法でそれぞれの選択肢の「社会厚生」を求める
| $x_1$ | $x_2$ | $x_3$ | $x_4$ | $x_5$ |
| アダム | 2 | 4 | 3 | 1 | 5 |
| イヴ | 2 | 0 | 2 | 1 | 5 |
| ルツ | 2 | 4 | 1 | 10 | 1 |
- 足す(ベンサム型)
- 掛ける(ナッシュ型)
- 最小値で比較(レキシミン型)
- ※これ以降は需要曲線と供給曲線をなめらかな曲線で描く.
- 需要曲線は右下がり,供給曲線は右上がり
- » 需要法則: その財価格が上がると需要量は下がる(少なくとも増えない)
(例外:ギッフェン財,ヴェブレン財など)
- ではどれくらいの反応を示すのか?
- » 同じ価格だけ需要と価格が増減してもインパクトは異なる.
- 駄菓子の価格が$10$円上昇すると需要量が$10$万個減った.
- 車の価格が$10$円上昇すると需要量が$1$台減った.
- » 「駄菓子の方が車より10万倍価格に敏感」と言える?
- » これらはもともとの価格と需要量が違うのでインパクトが異なる
- 変化率で見る.
$$\text{変化率}=\frac{\text{変化後の量}-\text{変化前の量}}{\text{変化前の量}}$$
- 需要の価格弾力性とは
$$\text{需要の価格弾力性}= -\frac{\text{需要量の変化率}}{\text{価格の変化率}}$$
- ※ 需要量の変化率/価格の変化率はマイナスであることがほとんどなので,プラスの値で表すためにマイナスをつける.
- 具体例で計算してみよう
- » 駄菓子の価格が$100$円から$110$円に値上がりしたところ,需要量が$120$万個から$110$万個に減った.
- » 車の価格が$100$万円から$110$万円に値上がりしたところ,需要量が$12$万台から$11$万台に減った.
- 価格弾力性が$1$より大きいとき,その財は弾力的,$1$より小さいとき非弾力的という.
- » どのような財が弾力的でどのような財がそうではないか?
- 価格が増加すると弾力性はどうなる?
- » 分数の性質:分母が大きいなら小さい,分子が大きいなら大きい
- » 価格が低いなら需要量が大きいことに注目
- 需要曲線の傾きが急勾配になると弾力性はどうなる?
- » 傾きが大きいと,同じ価格の変化に対して,需要量の変化が小さい
- 価格以外の理由で需要量や供給量が変わる場合がある.
- » 例:
- 所得の増減
- 製造費用の増減
- 課税
📊図: 需要曲線と供給曲線(シフト前)
- 需要曲線を右シフトさせるショックが起きたとする
- » 例:
- » このとき,価格と購入量ともに上昇したことが観測された.
- » ありうるパターンは次のうちどれか?
| 年 | 石油価格 | 石油消費量 | 備考 |
| 1972 | $113 | 8.25M | |
| 1973 | $142 | 8.91M | 第一次オイルショック |
| 1974 | $450 | 8.79M | |
| ... | | | |
| 1979 | $834 | 10.73M | 第二次オイルショック |
| 1980 | $856 | 9.76M | |
| ... | | | |
| 2019 | $481 | 15.62M | |
| 2020 | $309 | 14.22M | コロナショック |
- オイルショックは需要側のショック?供給側のショック?
- コロナショックは需要側のショック?供給側のショック?
- 需要曲線を右シフトさせるショックが起きたとする
- » 価格が2%上昇,取引量が5%増加
- » このとき,わかるのは
「供給の価格弾力性が$\frac{5}{2}$」
- 注意すべきこと:わかるのは均衡点での取引量のみ
- » 需要曲線のシフトによってわかるのは需要曲線についての情報とは限らない
- 最低賃金は貧困層の助けになるか?
- » 「働くこと」を財と考える.
- » 労働者が「労働」の供給者,企業が「労働」の需要者
📊図: 労働市場の需要・供給曲線(横軸:量, 縦軸:賃金)
- 労働の供給量 $-$ 労働の需要量を失業と呼ぶ.
- » 最低賃金によって失業が発生する
- 〈実証分析〉 実際に最低賃金の引き上げによって失業は増える?
- » Card and Krueger (1994):必ずしもそうとは言えない
- » 「労働経済学」という分野ではいろんな視点から分析する
- » 文献を調べてみましょう.
- $q^{\text{前}}$まで費用$0$,それより多く作る費用は$\infty$
📊図: 豊作前の供給曲線と需要曲線($q^{\text{前}}$, $p^{\text{前}}$, 消費者余剰・生産者余剰の塗りつぶし)
- $q^{\text{後}}$まで費用$0$,それより多く作る費用は$\infty$
📊図: 豊作後の供給曲線シフト($q^{\text{後}}$, $p^{\text{後}}$)
- » 生産できる量が増えた(豊作の)結果,収入はどうなるか?
🔗 QRリンク
- 市場取引では社会的総余剰が最大化される.
- 課税すればどうなるか?
- 従量税を考える.一単位購入するごとに税が$t$円課される.
- 財を一単位購入するとき,
- » 消費者の支払額:
- » 生産者の受け取る額:
- 実質的な価格は?
- 均衡では何が起きるか
- » 税込価格での需要量と税抜価格での供給量が一致する
- 課税があるときの市場均衡の図示
- » 均衡じゃないときの図
📊図: 課税下の非均衡(供給曲線上の$p$, 需要曲線上の$p+t$, 需給不一致)
📊図: 課税下の均衡($p^*$, $p^*+t$, $q^*$)
📊図: 死荷重損失(消費者余剰・生産者余剰・税収・死荷重の三角形)
- 死荷重損失:課税によって失われた社会的総余剰の大きさ
- 需要曲線の傾き(弾力性)に注目
- ラムゼイ・ルール(Ramsey, 1927,逆弾力性ルールとも):
- 調整過程:(市場)均衡にどうやってたどり着くかのプロセス
- 均衡の安定性:均衡から価格/生産量がわずかにずれたとき,その調整過程により元々の均衡に戻ってくること(局所安定性).
- » 戻ってこないときは不安定
- ワルラス的調整過程
- » 市場の価格調整メカニズムとも呼ばれる
- » 超過需要が生じると価格が上昇,超過供給が生じると価格が低下する過程
- マーシャル的調整過程
- » 取引量$Q$を決める.
- » 需要量がその取引量になるような価格$P^D(Q)$と供給量が取引量になるような価格$P^S(Q)$を考える
- » $P^D(Q)>P^S(Q)$なら$Q$を増やす
(買いたい人にとっての価値の方が売りたい人の費用より大きいので取引が進む)
- » $P^D(Q)<P^S(Q)$なら$Q$を減らす
(売りたい人の費用の方が買いたい人にとっての価値より大きいので取引が減っていく)
市場の失敗
- 市場取引では社会的総余剰が最大になる
- » これはいつでも成り立つものではない
- 市場取引がうまくいくための条件
- » 人々は自分の消費からしか利益や損失を受けない(私的消費・私的生産)
- » 人々の間で財の性質に関する情報が同じである(対称情報)
- » 人々は自分一人で価格を変えられないものと考えている(価格受容者)
- 上の条件が成り立たないと,市場取引が社会的総余剰を最大にしないときがある
- » 成り立たない時に問題が起きることの総称を市場の失敗と呼ぶ.
- 詳しくはミクロ経済学A/Bで学ぶ
- » この講義では簡単な例を紹介する
- 他人の行動が自分の効用に直接影響を与えるとき,外部性があると言う.
- » 例:
| 家が欲しい人(買手) | 天照 | 出雲 | 高木 | 月読 | 大和 |
| 支払意思額(万円) | 5000 | 3500 | 2000 | 1000 | 800 |
| 大工(売手) | アダム | イヴ | ルツ | ヤコブ | ヨセフ |
| 費用(万円) | 4500 | 3200 | 1800 | 950 | 850 |
- » 追加の登場人物:近所に住むおじさん
「家が一軒建つたびに,500万円だけの騒音被害を受ける」
- » 市場均衡で建つ家の数
- » そのときの社会的総余剰
| 家が欲しい人(買手) | 天照 | 出雲 | 高木 | 月読 | 大和 |
| 支払意思額(万円) | 5000 | 3500 | 2000 | 1000 | 800 |
| 大工(売手) | アダム | イヴ | ルツ | ヤコブ | ヨセフ |
| 費用(万円) | 4500 | 3200 | 1800 | 950 | 850 |
- » 1軒当たり買い手に500万円の課税
- » このとき建つ家の数
- » 社会的総余剰
- ピグー税:外部性の問題を税金をかけることで解決できる
- » 外部性によって生じる被害分を当事者に負担させる(外部性の内部化)
- 現代の闇市,フリマアプリで出品される商品の真の品質は
- 情報の非対称性があると言う
- » 情報に格差がある
- 例:中古のアイフォンをフリマアプリで買うことを考える
| 状態 | 売り手評価 | 買い手評価 |
| 良い | 3万円 | 4万円 |
| 悪い | 5千円 | 6千円 |
- 「良い」か「悪い」かが売り手・買い手双方にわかっている場合,市場が分かれる
- » 良い状態の市場
- » 悪い状態の市場
| 状態 | 売り手評価 | 買い手評価 |
| 良い | 3万円 | 4万円 |
| 悪い | 5千円 | 6千円 |
- 「良い」か「悪い」かが売り手にしかわかっていない場合,市場がまとめられる
- » 十把一絡げ,玉石混交な状態
- 良いものと悪いものが半々だとする
- » 買い手の評価は
- » 買ってもらうためには価格は最大でも
- » 上記の価格で売り手は売りたいか?
良い売り手:
悪い売り手:
- → 市場には悪いものしか残らない!
- 逆淘汰(逆選抜,逆選択とも)
- » 良いものが駆逐される
- » 品質保証(あるいは売り手への信頼)は大事
独占市場
- ある財について,それを生産できる企業が一社しかないとき,その状況を独占と呼ぶ.
- 独占企業は生産量を減らすことで価格を吊り上げることができる.
📊図: 独占価格の図(需要曲線・供給曲線, 均衡点$E$, 独占点$p', q'$, 点$A,B,C$)
- いままでは... 完全競争
- » 自分がどれだけ買っても売っても価格は変わらない(価格受容者という).
- » 売り手や買い手がたくさんいるならまあそう
- 独占は完全競争では無い(不完全競争)
- 完全競争との違い
- » 自分の行動で市場価格が変わることを意識している.(価格設定者の仮定)
- » 意識してないときよりも生産量は減る
(豊作貧乏になることがわかってるならたくさん作らない)
- → 社会的総余剰は最大にはならない
🔗 QRリンク
- 社会的総余剰が最大にならないことの図示
- » 上の動画の図では市場均衡では生産者余剰が$0$
- 同じ財なら同じ価格で売られなければいけない?
- » 一物一価の法則
- なぜ(いつ)一物一価の法則は成り立つか?
- → 裁定取引が働くとき
- » もし同じ商品がA店で100円,B店で120円で売っていれば?
- » 「フリーランチは無い」(または「道端に1万円は落ちていない」)
- 裁定取引ができないとき
- » 価格差別のチャンス
- この講義では簡単な価格差別の方法を紹介する
- » より多様な方法についてはミクロ経済学A/B,産業組織論,情報の経済学などで学ぶ.
- アダムとイヴに遊園地のチケットを売る.
- » アダムは8000円の支払意思額
- » イヴは10000円の支払意思額
- どうやって売るか?
- 8000円で売る
- 10000円で売る
- 完全価格差別は難しい
- 属性で区別する
- » 証拠がある属性(e.g., アカデミック版)
- » 地理的要因 (e.g., 国際価格差)
- 例:学生は8千円までなら払いたい,社会人は1万円までなら払いたい
- » どのように価格をつけるべきか?
- 学生と社会人の区別がつかないなら?
- » 価格を1万円にするときの売り上げ
- » 価格を8千円にするときの売り上げ
- 一個あたりの支払意思額が消費量に比例してだんだん減っていくケースを考える
- » ケーキの個数と消費するときの効用
※3個以上は不要と思う人を考えている
- この人からなるべくたくさん売上を上げるにはどのように価格をつける?
- » 価格を〇〇円にする.
消費者の行動
- 選択可能なものの中から最も効用が高くなるものを選ぶ.
- » 効用とは → 選択肢の望ましさ具合を数値化したもの
- » 消費者の問題に応用すると,「限られた予算の中でどの財をどれだけ購入するべきか?」
- 消費者の問題の例
- » 1000円を握りしめて現金オンリーの回転寿司店にきたとき
- » 労働と余暇
- → 限られた時間の中でどれだけ遊んでどれだけ働くべきか
- 回転寿司店での選択
- » メニュー:ウニ,マグロ,海鮮サラダの3種類
- » ウニは1皿450円,マグロは1皿300円,海鮮サラダは1皿150円
- » X氏の財布には450円しかない.
- » X氏は各寿司ネタの組み合わせについて,完全なランキングを作ることができる.このランキングは財布の中身が増えても減っても変わらない.
| 効用 | 選択可能な行動 |
| 4 | ウニ1皿だけ注文 |
| 12 | マグロ1皿,海鮮サラダ1皿を注文 |
| 3 | マグロ1皿を注文 |
| 7 | 海鮮サラダ3皿を注文 |
| 5 | 海鮮サラダ2皿を注文 |
| 1 | 海鮮サラダ1皿を注文 |
| 0 | 何も注文しないで帰る |
- 所得の減少
- » 手持ち金が450円から400円になった
- » 消費行動はどう変化するか?
- 価格の上昇
- » 所得は450円のまま海鮮サラダが150円から200円になった
- » 消費行動はどう変化するか?(ギッフェン財)
| 効用 | 選択可能な行動 |
| 4 | ウニ1皿だけ注文 |
| 12 | マグロ1皿,海鮮サラダ1皿を注文 |
| 3 | マグロ1皿を注文 |
| 7 | 海鮮サラダ3皿を注文 |
| 5 | 海鮮サラダ2皿を注文 |
| 1 | 海鮮サラダ1皿を注文 |
| 0 | 何も注文しないで帰る |
ウニ1皿450円,マグロ1皿300円,海鮮サラダ1皿150円,所得450円
- 消費プラン:消費者が選ぶ財の消費量の組み合わせ
- 消費プラン$w$の効用を$u(w)$と書く.
- » $u$は効用関数とよばれる
- » 効用の値そのものは重要ではない.
- → 大小比較さえできれば良い:序数性の仮定
- 財は$x$と$y$の二種類
- » 財$x$の消費量を$q_{x}$,財$y$の消費量を$q_{y}$と書く.
- » $q_{x}$と$q_{y}$の組み合わせ$(q_{x},q_{y})$が消費プランに相当する.
- » 消費者の問題は予算内で$q_{x}$と$q_{y}$を選ぶという問題に翻訳できる.
- 価格受容者の仮定:どれだけ購入したとしても価格は変化しない
- 消費量を$q_{x},q_{y}$,価格を$p_{x},p_{y}$とする.所得を$m$とする.
- 予算制約式
$$m= p_{x}\cdot q_{x}+p_{y}\cdot q_{y}$$
- 図解
- » ポイント:財$x$だけに所得を使うとき,財$y$だけに所得を使うときを考える
基本:価格が上昇すると買えるものが減る.所得が上昇すると買えるものが増える
- $p_{x}$が上昇したとき
- $p_{y}$が上昇したとき
- 二つの消費プランが無差別 $\iff$ どちらの消費プランから得られる効用も同じ
- 無差別曲線:無差別な消費プランの点を結んだ曲線
- » 次のページの特徴を仮定する
無差別曲線の湾曲度(曲がり方)にも意味がある
- ex) 財$x$:2Lペットボトル / 財$y$:500mLペットボトル
📐図: 完全代替財の無差別曲線(直線)
- ex) 財$x$:ケーキ / 財$y$:紅茶(or好きな飲み物)
📐図: ケーキと紅茶の無差別曲線(凸な曲線)
- 無差別曲線を使って効用最大化行動を考える.
- » ポイント:改善できるならそこはベストではない
📐図: 無差別曲線と予算線の接点(点A:最適, 点B,C:予算線上の非最適, 点D:無差別曲線の内側)
- $u(q_{x},q_{y})$: $(q_{x},q_{y})$という消費プランから得られる効用
- » $MU_x$: 財$x$の限界効用
- » $MU_y$: 財$y$の限界効用
- ある財の限界効用:その財の消費量をほんの少し増やしたときの効用の増分
- » ex. おおざっぱに言えば $MU_{x}=3$ ならば「$q_x$を$1\%$増やしたとき,効用は$3\%$増える」
- 無差別曲線の凸性から
- » $MU_x$: 財$x$の限界効用は$x$の消費量が増えると減る
- » $MU_y$: 財$y$の限界効用は$y$の消費量が増えると減る
$$\frac{MU_x}{p_x}= \frac{MU_y}{p_y}$$
- 直観:最後の1円の使い道
- » 1円で買える財$x$の量
- » 1円で買える財$y$の量
- $\frac{MU_x}{p_x}> \frac{MU_y}{p_y}$のとき
- » 1円分財$y$を減らし,1円分財$x$を増やすと,効用は
- 限界代替率:財$x$をほんの少し増やしたときに効用を一定に保つためには財$y$をどれだけ減らさなければいけないかという交換比率
- $x$を増やす量を$1$,$y$を減らす量を$\Delta$とする.
- 無差別曲線上では
$$MU_{x}-MU_{y}\Delta=0$$
- 変形すると交換すべき$y$の量$\Delta$は
$$MRS_{xy}\coloneqq \Delta = \frac{MU_{x}}{MU_{y}}$$
- この交換比率$MRS_{xy}$を財$x$の財$y$に対する限界代替率という.
- 限界代替率の特徴
- » $x$を増やす量が十分小さいなら,それは無差別曲線の傾き(の絶対値)
- » 無差別曲線が原点に向かって凸なら,$\Delta$は$x$の量が増えるにつれ,減少する.
$$\underbrace{MRS_{xy}=\frac{MU_x}{MU_y}}_{\text{$x$の$y$に対する限界代替率}}=\underbrace{\frac{p_x}{p_y}}_{\text{価格比}}$$
📐図: 1. 端点解(完全代替財の無差別曲線と予算線)/ 2. 飽和点(円形の無差別曲線と点A)
📐図: 左=正常財(所得増で両財の消費増)/ 右=劣等財(所得増で$x$の消費増, $y$の消費減)
- 正常財(あるいは上級財)
- 劣等財(あるいは下級財)
📐図: 所得消費曲線(所得増加に伴う最適消費点の軌跡)
- 正常財はずっと正常財とは限らない.
- 劣等財はずっと劣等財ではない.
所得ゼロなら消費量もゼロ(価格が正で消費量が非負なら)→ これ以上は減らない
- 所得が$1\%$変化したとき、需要量が何$\%$変化するか,の指標
- 需要の所得弾力性が$0$以上$1$未満なら必需財
- » 所得の変化率 $>$ 需要量の変化率
- 需要の所得弾力性が$1$より大きいなら贅沢財(奢侈財とも言う)
- » 所得の変化率 $<$ 需要量の変化率
📐図: 粗代替財($p_x$上昇で$q_x$減, $q_y$増)
- 粗代替財
- » $x$と$y$のどちらかだけでいい場合にはそうなりやすい
- » 財$x$の価格が上昇したとき,財$y$の需要量が
📐図: 粗補完財($p_x$上昇で$q_x$減, $q_y$も減)
- 粗補完財
- » $x$と$y$をペアで消費したい時にはそうなりやすい
- » 財$x$の価格が上昇したとき,財$y$の需要量が
- $x$と$y$が粗補完財であるとき,必ずしもその二つの財をペアで消費したいわけではない.
- 財$x$の価格が増加することは実質的に所得が減少すること
- → 財$y$が正常財ならこのあおりを喰らって消費量が減少する
- [例] 電気使用量と牛肉の選択:電気代の値上がりで家計を圧迫したのでたまに買ってた牛肉の頻度が減る
- » これは電気と牛肉を共に消費したい(補完関係)が理由だろうか?
- 所得効果と混ざってしまう!
- → 所得効果を分離したい → スルツキー分解という技がある
📐図: スルツキー分解(点A:元の最適, 点B:新しい最適, 点C:補償所得での最適, 予算線の回転とシフト)
- 補償所得:価格が変化したときに効用を元々の水準に保つために変化させた所得
- » $A \to C$の変化:代替効果
- » $C\to B$の変化:所得効果
- $x$財の価格増加を考える(「粗」がつかない純粋な代替効果)
- » 代替効果により$y$財の消費量が増加 → $x$は$y$の代替財
- » 代替効果により$y$財の消費量が減少 → $x$は$y$の補完財
- » 世の中に財が二種類しかなければ必ずそれらは互いに代替財 → 三種類以上あれば補完財になるペアがある
📐図: ギッフェン財($p_x$上昇で$q_x$が増加する無差別曲線と予算線)
- 労働供給:どれだけ働きたいかを決める
- 24時間生きる人を考える.
- » $t$時間働くと$w\cdot t$だけの給与をもらえる.
- » この人の効用は消費$c$と余暇$\ell$(働かなかった時間)から得られる.
- » 消費財の価格は$p$であるとする.
- » その他不労所得が$s$だけあるとする.
- → この人の効用最大化問題はどのように書けるか?
- 賃金の変化の効果とオファーカーブ
- » 「価格」と「所得」の両方に影響する
- » ギッフェン財との違い
複数財市場の均衡
- 消費者理論を応用して,複数人がいる市場の「均衡」を分析する
- » 均衡では「価格」が決まる
- 消費者:レオンとケネスの二人
- » 純粋交換経済:あらかじめ彼らのもっている財$x$と$y$をお互いに交換する.
- 初期保有量あるいは初期賦存量
- » レオンの初期保有$(e_{Lx},e_{Ly})$
- » ケネスの初期保有$(e_{Kx},e_{Ky})$
- 消費プラン
- » レオンの消費プラン$(q_{Lx},q_{Ly})$
- » ケネスの消費プラン$(q_{Kx},q_{Ky})$
- 消費者は自分が持っている初期保有を売って,その売り上げを所得として考える
- レオンは以下の予算制約の下で効用を最大にする消費プラン$(q_{Lx},q_{Ly})$を選ぶ.
$$p_{x}q_{Lx}+p_{y}q_{Ly}=p_{x}e_{Lx}+p_{y}e_{Ly}$$
- ケネスは以下の予算制約の下で効用を最大にする消費プラン$(q_{Kx},q_{Ky})$を選ぶ.
$$p_{x}q_{Kx}+p_{y}q_{Ky}=p_{x}e_{Kx}+p_{y}e_{Ky}$$
- 財の需給一致条件
- » 欲しいものの合計量が世の中にある総量と一致する
$$q_{Lx}+q_{Kx}=e_{Lx}+e_{Kx}$$
$$q_{Ly}+q_{Ky}=e_{Ly}+e_{Ky}$$
- 市場均衡(あるいは完全競争均衡,ワルラス均衡)
- 予算制約のもとで効用を最大にする消費プランを選んでいること.
※ ただしいくら消費しても価格は変えられないものと思っている(価格受容者の仮定)
- それぞれの財の需給一致条件を満たすこと.
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📐図: エッジワースボックス($O_L$原点, $O_K$対角, 初期保有点$E$, 消費点$A$, 各軸$q_{Lx}, q_{Ly}, q_{Kx}, q_{Ky}$)
📐図: エッジワースボックス内のパレート効率性(レオンの無差別曲線とケネスの無差別曲線の接点, 点A,B,C,D)
- 余剰がうまく計算できないので,パレート効率性で評価する
- パレート効率性の復習
- » そこから他の点に移ると誰かが損する → パレート効率的である
- » そこから移ると全員が得をするような他の点がある → パレート効率的でない
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- 第一厚生定理(厚生経済学の第一基本定理):市場均衡の配分はパレート効率的である.
🔗 QRリンク
- 第二厚生定理:パレート効率的な配分は(初期保有配分を操作すれば)市場均衡の配分として達成できる.
- 履修制限のある講義科目について考える.
- » 最大履修可能人数が「供給量」になる
- » 「需要量」は登録者数
- 「抽選登録」では「履修したい意欲」が反映できないので不満
- » 市場均衡を使ってこの問題を解決!
- ポイント投票メカニズム
- » まず学生に「予算」を与える
- » 次に予算内で各科目に対して,履修することの効用を申告する
- » 効用の高い順に受講生が割り当てられ,「価格」を基準に足切りされる
- » 講義が割り当てられた学生は価格の分だけ予算を消費する
- 神戸大学,ペンシルバニア大学やハーバード大学の一部では導入されている.日本大学では未導入
企業の行動
- 生産者である「企業」を詳しく分析する
- 基本的な経済学では企業は「利潤」を最大にするように行動する.
- » $\text{利潤}=\text{売上金額} -\text{費用}$
- 現実の企業は本当に利潤を最大化している?
- » 典型的な言い訳:利潤を出せないと倒産するので生き残ってる企業は利潤を出している
- マーケットシェアや売り上げ(年商)を目的とする場合もある.
- » 不完全競争ではそのほうが利潤が増えることもある(詳しくは産業組織論で)
- » ワンマン経営者の場合,違う目的が先行することもある
🖼️画像: harimaya.png
(引用元:https://www.harimayahonten.co.jp/tenpo/aisatsu.pdf)
- 企業が選べるものはなに?
- » 生産量(どれだけ作るか)
- » 商品の選択
- » 商品の価格
- » 従業員の採用数
- » 事業のための投資・研究開発
その他諸々.
- 最初から全部分析するのはムリ
- » 以下を仮定する
- 商品は決まっている(種類も1つだけ)
- 技術も決まっている(生産性の改善とかもナシ)
- 価格も自分で変えられない(価格受容者の仮定)
- 選べるのは①どれだけ作るか,②どれだけ人を雇うか,③どれだけ機械を導入するか...
- 最も単純なケースは「どれだけ作るか」しか選べない.
- » ひとまずはこのケースを考え,あとあと②,③について考える.
- 選ぶのはどれだけ作るかのみ
- » 生産する量を記号で$q$と書く.
- » $q$だけ生産するときの費用を$C(q)$と書く.
- » $C(q)$は総費用関数と呼ばれる.
- $C'(q)$は限界費用と呼ばれる.($MC$と書いたりもする.)
📊図: 限界費用曲線$C'(q)$=供給曲線, 価格$p$の水平線との交点$q^*$
- 利潤最大化問題を解く.$C(q)=q^2$とする.
- $C(q)=q^2+q$とする.供給関数を求めなさい.
- $C(q)=4\cdot q$だとする.供給関数を求めなさい(微分では解けない).
- 総費用関数のより細かい構造を見る.例として$C(q)=q^2+q+5$
- » 可変費用とは
- » 固定費用とは
- 経済学における短期と長期
- » 短期とは
- » 長期とは
- 固定費用 $\neq$ 埋没費用
- どのようなときに利益が黒字か(赤字か)?
- → 損益分岐点を求める.
- 黒字と赤字の境目=利潤が0の条件は
- » 損益分岐点での価格は
- 利潤最大化条件を使うと...
- 利潤が赤字でも(短期的には)店じまいすべきでないかもしれない.
- » 短期的には工場などを売れない → 固定費用はかかりっぱなし
- » 可変費用の部分で黒字であれば固定費用による赤字を減らせる!
- $q$だけ生産するのと全く生産しないのが同じ利潤になる条件は
- この価格を下回れば生産すべきでない.この価格を操業停止点の価格,生産量を操業停止点の生産量と呼ぶ.
費用関数が$C(q)=q^{2}+q+4$だとする.
- 損益分岐点の価格と生産量を求めなさい.
- 操業停止点の価格と生産量を求めなさい.
費用関数が$C(q)=q^3-3q^{2}+5q+4$だとする.図を描いて次の問いに答えなさい
- 損益分岐点の価格と生産量を求めなさい.
- 操業停止点の価格と生産量を求めなさい.
📊図: 費用曲線(総費用$C(q)$, 限界費用$MC$, 平均可変費用$AVC$, 平均費用$AC$のグラフ)
- 参入・退出が起きない → 安定した状態
- 参入していない時の利潤を$0$とすると
- » 利潤 $>0$: 参入が起きる
- » 利潤 $<0$: 退出が起きる
- 自由に参入・退出が可能ならば,安定した状態では利潤はどうなる?
- 参入・退出は効率的か?
- » (不完全競争では)過剰参入定理(Mankiw and Whinston, 1986; Suzumura and Kiyono, 1987)が知られている.
- » 過小参入定理もある(Ghosh and Morita, 2009).
- » 詳しくは産業組織論で!
- 総費用関数は謎のブラックボックスであった.
- » 100万個作りたいと言ったら「200億円かかります」とだけ言われるようなもの
- » この総費用関数はどこから出てくるのか?
- 生産関数
- » 生産要素なるものを投入したら生産物が出てくる関数
- → 生産関数から総費用関数を作る
- » ex. 100万個作るには,作業員を60人雇って,工場を一箇所作って,材料を3トン購入して,...その諸々の費用が200億円かかります.
- 生産要素
- » 二つの要素$K,L$によって財が生産できると想定
- $K$: 資本
使用するには$r\cdot K$だけの費用がかかる
$r$をレンタル率と呼ぶ.
- $L$: 労働
使用するには$w\cdot L$だけの費用がかかる
$w$を賃金率と呼ぶ.
- 生産関数:$f(K,L)$
- » $(K,L)$の組み合わせを投入すると$f(K,L)$だけの量の財ができる.
- 例:$f(2,3)=8$は
- » 「工場を2つ建て,工場作業員を3千人雇うと駄菓子を8万個製造可能」くらいの意味
- 規模に関する収穫(スケールメリット/デメリット)
- $f(aK,aL)>a f(K,L)$となるとき,規模に関して収穫逓増という
- $f(aK,aL)=a f(K,L)$となるとき,規模に関して収穫一定という
- $f(aK,aL)<a f(K,L)$となるとき,規模に関して収穫逓減という
- 例:お菓子の生産:「規模に関して収穫___」
小麦粉と卵の量を3倍にすると,できるケーキの数は3倍になる
- 例:店舗の売上:「規模に関して収穫___」
店舗数と雇用者数を二倍にしたら,売り上げが1.5倍になった.
- 長期:すべての生産要素が調整可能
- » 可変的生産要素: 調整可能な生産要素
- 短期:一部の生産要素が固定されている.
- » 固定的生産要素:(すぐには)調整できない生産要素.
- → たいていは$K=\bar K$の水準で固定されていると想定する.
- 短期の最適化問題: $q$だけ作る費用は?
- » $K=\bar K$で固定されているとき,$f(\bar K,L)=q$となるような$L$を$L^*(q, \bar K)$とする.
- » このときの総費用は
$$C(q)= w\cdot L^*(q,\bar K)+r\cdot \bar K$$
- » $r\bar K$は固定費用
- 例:ケーキ工場の機械の数は5個,一個あたり300万円,普段2千個/日作るためには7人雇わないといけない,繁忙期に1万個/日作るためには40人雇わないといけない.一人当たりの日給は8000円
- 長期の生産問題:
- » $K$と$L$の両方を調整する.
- » 生産量$q$を達成するような$K,L$の中で費用が最小になるような組み合わせを考える.
- » 短期の決定より自由度が高い
- 例:
- » ガラケーは時代遅れなので,工場を減らす
- » 半導体は需要が高まりそうなので,工場を増やす
※縦軸・横軸に注意
- 等産出量曲線: 同じ生産量を達成する点$(K,L)$を結んだ曲線
📐図: 等産出量曲線($f(K,L)=q_1, q_2, q_3$, 横軸$K$, 縦軸$L$)
- » 等産出量曲線の傾きは
- 限界変形率(あるいは技術的限界代替率)
- 等費用曲線: 同じ費用がかかる点$(K,L)$を結んだもの
📐図: 等費用曲線($rK+wL=c_1, c_2$, 直線)
- $f(K,L)$: $(K,L)$という生産計画のときの生産量
- » $MP_L$: 労働の限界生産物
- » $MP_K$: 資本の限界生産物
- ある生産要素の限界生産物:その生産要素の投入量をほんの少し増やしたときの生産量の増分
- » ex. おおざっぱに言えば $MP_L=3$ ならば「$L$の投入量を$1\%$増やしたとき,生産量は$3\%$増える」
- 限界変形率との関係
- 生産量を固定(例えば$f(K,L)=q$)した上で費用が最小になるように$K,L$を選ぶ.
📐図: 費用最小化(等産出量曲線$f(K,L)=q$と等費用曲線の接点)
- 1個生産量を増やすために必要な労働量は$\frac{1}{MP_L}$であり,1個生産量を増やすために必要な資本の量は$\frac{1}{MP_K}$であることに注意する.
- もし$\frac{w}{MP_L}> \frac{r}{MP_K}$ならば...
$$\frac{w}{MP_L}= \frac{r}{MP_K} \Rightarrow \frac{MP_K}{MP_L}= \frac{r}{w}$$
- 費用とは,ある生産量を達成するための最小の費用
- » 長期と短期で費用にどのような差があるか?
Final Remark
- 組織の経済学
- » 企業の内部では市場の論理は使えない
- » 「契約」をキーワードに組織内部の行動を分析
- » 経営学と関連する
- 社会的選択理論
- » 人々の好みや情報をどのように集計するか?
- » アローの不可能性定理が有名
(民主主義の限界を示した,は誤り)
- ゲーム理論
- » 複数の人物がいる状況で,戦略的な行動を考える
- » 「囚人のジレンマ」だけではない
- » 「囚人のジレンマ」以外がむしろ大事
- メカニズム・デザイン/マーケット・デザイン
- » ゲーム理論を使って,より良い社会を実現する仕組みづくりのための理論
- » 例:オークション制度のデザイン,配属先の決定のデザイン